スイッチ
第12章 溢れる。
さぁ・・・どうしよう。
帰り支度もそろそろ終わる。
みんな次の仕事があると言って早々に楽屋を出て行った。
今日、泊りに来るんだよね?
A「にの、」
N「へっ?!な、なに?!」
クスリと笑われ、ギュっと強く抱き締められる。
A「なんか、2人きりなの久々な気がして・・・緊張しちゃうね。」
N「うん・・・。」
相葉さんと別れるつもりだった俺からしたら、今抱き締められている事が奇跡だ。
N「ホントにゴメン・・・勝手な事して心配かけて。
暴力までふるわせた。
ゴメンなさい。」
誰よりも優しい相葉さん。
アイツを蹴り飛ばしたりして、自分が傷付いてないだろうか。
A「にのちゃんの為なら何でもないよ。
でも・・・」
心底困った、という表情で俺をジッと見る。
A「先が思いやられるよ・・・きっと敵はわんさかいる。」
・・・そういえば、アイツが変な事言ってたな。
N「ねぇ、俺最近変わった?」
A「ん?」
N「・・・雰囲気、とか。」
色気が増したとかって言われたよな・・・
A「・・・誰に何言われたか知んないけど。」
ちょっとムッとした相葉さん。
ヤバ。
やっぱ地雷だったかな・・・
A「変わったといえば変わったんじゃない?
“俺の恋人”になったんだから。
その変化を俺以外の奴も感じてるのはムカつくけど。」
“俺の恋人”。
俺は、相葉さんの恋人・・・
N「バカ・・・キュンときたじゃん。」
A「くふふっ・・・キスする?」
N「・・・する。」
相葉さんに優しく腰を包まれる。
俺は相葉さんの首に両腕をまわし、背伸びをして口づけた。
何度も何度も触れるだけのキスをした後、相葉さんの胸になだれ込むように抱き付いて顔を擦り付ける。
もう、少しの間だって離れたくない。
A「にーの、どうしたの?」
優しい声。
A「お家帰ろ??」
さっさと帰ってユックリしたいのに、動きたくない。
家に着くまでの間、手も繋げないもん。
にのちゃーん、と優しく呼ばれるのも耳に気持ち良くて、さらにギュっと抱き付いた。