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偽恋-itsukoi-

第7章 餓鬼


気が付いたら大きくなっていて
両親にになかなか話に行ける時が無くて
お母さんには先に言っていた。
もちろん反対された。
でも私は負けたく無くて絶対産むんだと決めていた。

実家にフミヤと話しに行った。
一番怖かったのがお父さんだ。
怒鳴り散らかされるのを覚悟で言ったが
冷静に話を聞いてくれた。けど

『駄目だ。お前達には育てられない。餓鬼が餓鬼を育てられる訳ないだろ。もし産むんだったら俺達家族とお前は縁を切るからな。おろすなら全部俺のせいにして良い。俺を嫌っても良い。ちゃんと考えろ。』

私は家族は凄く大切でこの言葉が凄く悲しかった。でもお父さんはその位の覚悟で止めてるんだって思った。
フミヤはずっと頭下げてくれてた。
ありがとう。ありがとう。

とりあえず考える時間が欲しくて私の部屋に駆け込んだ。フミヤも来た。
フミヤは『家族と縁を切るのは止めよ。俺達にはまだ早かったんだよ。またこの子が戻って来るの信じて今回は親父さんの言う事信じよう。俺に力が無くてごめんな。』

2人で泣いた。悔しかった。
子供の顔が見たかった。

両親の元へ戻っておろすよ。って伝えたら一言お父さんが『おう。』と言った。

後からお母さんに聞くと縁切るだろうなって話してたらしい。家族を裏切れるほど馬鹿じゃないよ。大好きだもん。
私も不安だった気持ちがあった。
フミヤとの未来が少しハッキリ見えなかったから。

赤ちゃんは少し大きくなっててギリギリおろせる大きさだった。薬で陣痛を起こして産む形らしい。
出産と同じ形なのにこんなに残酷なんだね。ごめんねお母さん弱くて。ごめんね。もう無責任な事しないからね。

それからずっと毎日毎日泣き続けた。
泣きたいのは赤ちゃんの方だよね。
何も罪ないのに。お父さんに言われたのが産めば皆幸せになれるとは限らないって事。今思うと納得だ。こんな仕事も安定してないでこんな弱い私達でちゃんと育てられる訳が無かったなと。

ミサトとハルにも伝えた。
沢山支えてくれたのにごめんなさい。

ずっとずっとこの事を忘れちゃいけないなと思った。一番目はこの子だったと。

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