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TABOO

第4章 *未来へ*



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1時間も話しただろうか。
やがて夫は静かに席を立ち、
自分の部屋に行き、
印鑑を取りにいった。

そして静かに冷静に印鑑を押した。

『……有難うすみません……』


すると夫が、

『……今まで有難う……美砂……
本当にすまない。しかし……
本当にすぐ出て行くのか?
子供が生まれるまで居なさい。』

『こんな気持ちじゃ居られ無いわ。
……明日……出て行くわ……』

美砂は静かにそう言うと、
部屋に戻った。

自然に涙が溢れてくる。
あの1時間の話しあいで、
一体何が話されたのか。
こんなに簡単に結構が出た事に、
美砂は驚いていた。

夫の話しはこうだった。

自分も浮気をしていた事……
その女を本気で愛してしまった。
出来れば一緒になりたい……
いずれは美砂に、
別れ話しをしようとして居た事……

だからとても……
美砂を責められないと。

……これでレイの子供を……
産めるんじゃない……
何を泣く事があるの?……

美砂はただ泣き続けて居た……

涙が後から後から溢れて居た……

何を泣いているのか
自分でも解らなかった……

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