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TABOO

第4章 *未来へ*





手続きを終え美砂はホテルに戻った。
すぐに夫に電話をする。
荷物を送って貰う事になっているからだ。

『もしもし美砂です。』

『……ああ元気か?……』

『……ええ……
住む所が決まったの。』

『随分早いな?』

『……ええ……
それで荷物すみませんけど。』

『ああ。明日送るよ。
うん、うん、吉祥寺か?
いい所だな。よかったな?』

『ええ有難う。宜しくお願いします。』

『……ああ、解った……』

そうして電話は終わった。
なんか夫は別れてから、
優しくなった気がする……
美砂は早めに眠る事にした。

……今日は疲れた……
でもこれで安心して、
あなたを産めるわ……と。

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ーーーー
ーーーーー

一方……レイは……
2カ月もの間毎日美砂を捜し続けていた。
仕事のある日は、
仕事が終わってから。
休みの日はずっと……
もちろん手掛かりなど、
あるはずがない。
それでもこうせずには、
いられなかった。

レイが美砂の異変に
気がついたのは、
美砂と逢わなくなって、
1週間ぐらい
たってからだった。
始めは連絡が取れていた。
ある日メールを送ったら、
いつもなら返っていた
返信が来なくなった。
そして、
携帯が繋がらなくなった……


……この電話番号は
現在使われておりません……


機械のような
冷たい声だけが、
レイの耳に響いていた。


……っつ……


……なんでだよ……


……有り得ねーし……


……美砂……


……こんなに愛してるのに……


……君はもう……
俺を愛していないの?……


……マジもう疲れた……


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