ふたつの鼓動
第2章 1ヶ月ぶりの
「...なぁ椎香」
「ん?」
帰宅途中に何気なく椎香にきいてみた
「ヤーさんと付き合っちょる子ぉなんざうちだけじゃないじゃろ?なんで有弥は、こんなに会えへんのじゃろか…」
前から正直思っていた。
わたし以外にも、友達でヤーさん(やくざの人)と
付き合ってる子はけっこう噂できくと いたりする
だかど、こんな長期間会えないとか その手の仕事で出張みたいなことがある とかは聞いたことがなかった。
だから付き合った当初から始まったこの何週間ぶりとか 何ヶ月ぶりとかの会う約束には
とても不思議だった。
「...あんたさぁ今頃気がついたんか?」
そう言う椎香に え?と顔を向けると
「普通こんな会えないし連絡取れないなんちゅうことありゃせんじゃろ?付き合ったときに変って思ったらすぐ聞くのが普通じゃろが。」
...あ、そうか
「...なんで、今まで聞かへんかったん?」
そうだわたし...
本人に聞けばいいことなのに なんで
今まで聞かなかったんだろう...
「......心のどっかでな」
椎香に聞かれてから気がつくなんて遅いけど
本当に今頃気がついた
「...聞いちゃいけないような気がしてたんよ」
でも気がついてしまったからには気になってしまう
聞いちゃいけないような気がしてたのは
有弥の職業柄なのだろうか…それとも
「きくなって...言われてるような気がしてた」
有弥の時折みせる表情がわたしをそうさせていたのかもしれない
「今日会ったときに聞いてみぃよ。本人に」
椎香が背中を押してくれたような気がした
ちゃんと向き合って話せって。
「...本当に...ありがとうなしいちゃん」
椎香はわたしの顔を見ながら うんうんってうなずいた
「そんじゃアタシは今から真優とデートやってん♡準備せなあかんから またなー♡!!」
気づけばもう椎香の家の前だった
嬉しそうに手をふりながら家に入っていく
「なんかあったらちゃーんと連絡すんねんでー!!」
最後にそう叫んで元気に消えていった
まったく...愉快な親友ちゃんじゃ...
フッと笑って自分の家に足を向けた