ふたつの鼓動
第2章 1ヶ月ぶりの
葉木原 有弥(はぎはら ありや)
わたしは あまり有弥の存在を周りに知られてはいない
いや、わざとあまり知られないようにしている
なぜかといえば、彼は
10歳も年が上でしかも職業はやくざ
十も歳が離れているとは思えないほど若々しいけれど、免許証を見せてもらったとき ほんとに27歳だった
いわゆる、年の差恋愛。
黒髪の心地のよい肌触り 綺麗な肌
厚く鍛えられた胸板、大きな瞳の中は琥珀にも近い明るいブラウン 生え揃った長いまつげ
ガタイのいい長身で音灯古と引けをとらぬ整った顔立ちは幼さを残した童顔
それでも色っぽさと艶っぽさが丸出しの首筋
有弥とわたしの出会いは半年前の夏
夏休み中、一緒に行こう と誘われたお祭りで
椎香たちとはぐれてしまった。
あまり地理に馴染みのない隣町の 露店が並ぶ縁日で
わたしはひたすら椎香たちを探し歩いていた
「...う~んいない......どこいったんじゃろ...」
縁日が続く道をずっと歩いていると
先に見えてきた神社で、少しケータイを開こうと思って神社の敷地内にある高々と枝を掲げて生えていた大木に ゆっくりと腰掛けた
ケータイの画面を開いて椎香に電話をかけるけれど繋がらない...
次にノアにもかけてみたけどだめだ
ふぅっ...と息をはき どうしよう と
少し考えてから ノアと一緒にいるであろう音灯古に 念のためメールを打った
「...どーせケータイ見ないだろうけど送っとかないよりはマシだよね」
一応メールを打ち込み、フッと画面を閉じた
周りを見渡し縁日の露店のほうを眺める
「まさかわたしがはぐれるとはなぁ..方向音痴じゃないはずなのになぁ..」
方向音痴ではないけど調べておかなかったダメな自分を思い知りガックリと肩を落とした
そうしていると次第に
寂しさと後悔が急にに胸を押し寄せて切なくなった
双子で生まれてきたからなのか1人ぼっちでいることにとても不安と違和感を感じる
「家に1人とかでいたことないしなあ...」
ハアァ...と また肩を落として俯いた