兄達に抱かれる夜
第10章 可愛がって貰えたみたいだね
お母様はお父様が好きだから、自分からお父様の元へ通い続けて、やっと子供を授かったようだ。
あたしだったら、どうしただろう。
もし、翔太が、あたしに何もしなかったら?
兄弟もいなくて、翔太だけだったなら?
そんなの堪えられるだろうか?
何もされない、花嫁。
一緒にいるだけで、幸せだったとしても。
今のあたし達は、体で繋がってるようなものだし。
それだけでいいと、思ってしまっているけど。
「……恵麻?
ちゃんと、俺を見てる?」
すぐ目の前にいる和兄様が、あたしの瞳をじっと見ている。
その言葉に、はっとしてしまった。
玄関先だし、冷たい風が吹いて、あたしの髪を揺らす。
寒さで、肩がすくんで、和兄様の瞳から、逃げるように、俯いた。
「恵麻、早く、俺だけのモノになってしまえばいいのにね?」
ふわりと優しく抱きしめられて、耳元で囁かれて、耳朶に舌を這わされた。
ひやりとした感触と、じわりとした快感。
「ひゃっあ……っ……だめ……っ」
慌てて和兄様の腕から逃れて、家の中に逃げる。
家の中の方が、少し暖かい。
少しほっとするのに、和兄様にまた、腕を引っ張られて、引き寄せられてしまう。
そのまま、あたしのお尻を揉まれて、抗議するように睨む。
「こんなところで、だめっ」
「……じゃあ、君の部屋ならいいの?」
腕を突っぱねて、和兄様から離れようともがいて、あごを軽く掴まれて、じっと見つめられた。
はっとしてしまう。
だめ、なの。
あたしは……。
翔太と一晩中過ごした、自分の部屋。
あの部屋に、誰も入って欲しくない。
「ごめんなさい、和兄様、あたし……」
「何を謝る事があるの?
……俺達は君との子供を早く作ればいいだけなんだから、どこでしても構わない筈なんだよ?」
そんなの、嫌だよ……。
「さっきだって、朝食の準備を知らせる使用人が通りかかったのに、俺達を見て慌てて逃げて行ったよね、今頃、タオルとか、ティッシュの準備をしてるかもね?」