兄達に抱かれる夜
第10章 可愛がって貰えたみたいだね
日曜だから、支度を整えて、朝食の席について、久し振りに皆で顔を合わせて、朝食を食べる。
表向きは和やかに、当たり障りのない会話をして、過ごす食卓。
すぐに朝食を終えて、先に失礼して、お母様に廊下で呼び止められた。
「聞きましたよ、恵麻。うまくやってるようですね?」
…………何を、誰に聞いたんだろう?
思い当たる事が多過ぎて、戸惑ってしまう。
うまくやってるってなに?
なにをやってるって言うの?
意味深な言葉を残して、含み笑いをして、部屋に戻るお母様の、綺麗な後ろ姿を見つめた。
呆然としたまま、部屋に戻って、勉強をしようと教科書を広げて、慌ててピルをいつものように服用した。
何となく、ケータイで調べて見る。
経口避妊薬、主に女性に用いられる女性ホルモン剤である。
日本では一般的にピルと呼ばれる。
排卵の抑制。
精子の子宮内侵入の抑制。
子宮内膜の変化(受精卵の着床抑制)である。
正しく服用した妊娠の確率はパール指数(パールインデックス)は経口避妊薬で0.3%、避妊手術で0.1~0.5%、薬剤添加ICDで0.1~0.6%である。飲み忘れも含めた一般的な使用では、経口避妊薬で8%、避妊手術で0.15~0.5%、薬剤添加lCDで0.1~0.8%である。
…………良く分からないけど、飲み忘れも含めた一般的な使用。
経口避妊薬で8%………。
8%の妊娠の確率。
8%。
頭の中で繰り返す。
たったの8%………。
飲み忘れ………。
信じられなかった。
だって、あんなに沢山、中で出されて……。
あたしの子宮に、翔太の精子は抑制されて、着床する確率はたったの8%なんだ。
そう考えると、複雑な気分になった。
翔太だけじゃない。
和兄様も康兄様だって、毎日夜を過ごしたら、たったの8%の確率でも、ひょっとしたら……。
そこまで考えて、ぞくりとしてしまう。
駄目だ。
とにかく今は、勉強をしよう。
あたしは教科書を広げて、シャーペンを握り締めた。