兄達に抱かれる夜
第10章 可愛がって貰えたみたいだね
朝食を終えて部屋に戻って、使用人が部屋の片付けまでしてくれたみたい。
翔太との夜を、何事もなかったかのように、片付いてしまった部屋で勉強をする。
仕来たりは始まってしまってるけど、学習院大学を卒業してからの、結婚だと言われていた。
学習院大学へは、主に教養を身に付ける為、特に英会話を求められる。
有馬家の嫁になれば、御披露目パーティもあるみたいだし、色んな人との面談があるから。
花嫁修業として、お茶やお花、ウォーキングまでやらされて来たから、不安はないけど。
実際、お嫁さんになれるのは、まだ、先の話。
だから、勉強は最低限の成績を、キープしてなくちゃいけない。
まだ18歳、そのまま今年卒業して、エスカレーター式に学習院大学に入学する。
成績はなるべく上位をキープしているけど、最近ろくに勉強出来てなかったから、試験前で不安になっている。
頭の中が他の事でいっぱいで、なかなか手に付かない。
……翔太の事でいっぱいで、なかなかあたしの頭の中から、出ていってくれない。
本人はもうここにいないのに。
目を閉じれば、翔太の存在を、鮮明に思い出してしまう。
あたしの体に触れる、あの手の感触……。
思い出しただけで、熱くなって、あそこが切なく疼いてしまう。
思わず、スカートを捲って、パンツの中に手を忍ばそうとして、
こんこん、部屋のドアがノックされた。
びっくりして、慌てて手を引っ込めた。
「…………恵麻?
いるのかい?」
遠慮がちな、康兄様の艶やかな声が聞こえた。
「はい?」
服の乱れを直して、最近では癖になってしまっている、部屋の鍵を開けた。
「なんだ、勉強してたのかい?そろそろ試験だと思っていたけど、お前ときたら今回は何も泣きついて来ないから、心配になってきてね?」
康兄様の言葉に、安心してしまう。
正直、泣きついてしまいたかった、だって、全然分からないんだもん。
「康兄様、教えて?どこから分からないのか、もう訳が分からなくて……っ」
いつも優しく、勉強を教えてくれた、康兄様。