兄達に抱かれる夜
第1章 お願いっ、嫌なのっ、あたしは……っ
とっておきの着物に着替えて、慌てて主屋に行く。
久し振りにまともに会った気がする、お母様とお父様。
それに正装した兄様3人。
まるで正月だ。
「来たな、恵麻、こちらに座りなさい」
久し振りのお父様に声をかけられた。
「はい」
皆の前に座らされた。
その隣にお母様、お父様。
お母様はブランドショップのオーナー。
お父様は整形外科クリニックの医師だ。
「お祖父様が病気になり、今日突然入院する事になりました」
皆が息を飲む。
「まあ、いい歳だしなあ」
和兄様の言葉に皆が納得する。
80歳か、90歳か、ついこの間まで、剣道してたような気がするけど。
「お祖父様もあの歳だし、しょうがないと笑ってらしたけど、一言言ってました」
お母様はそこで、言葉を切って、あたしの顔をじっと見つめた。
「死ぬまでに孫の顔がみたいと」
「………………えっ?」
ギクリ、体が震えた。
何故だか皆の視線があたしに、集中する。
「恵麻、あなたは家の嫁になる為にこの家に養子にはいりました。
本当なら、もっとゆっくり、息子の誰かを、選んで欲しいと、思っていたのだけれど、残念だけど、そこまで待つ時間はお祖父様にはないようです」
「じゃあ、俺達の誰かを、恵麻に選らんでもらうのかな?」
和兄様が笑いながら、言う。
選ぶ?
あたしが?
「………いいえ、その必要はありません。
これは昔からある、習わしなのです。
あなた達が順番に契りを結ぶのです、有馬の子を孕むまで……」
「…………なっ!」
「なんだよ、それはっ……!」
「こいつの気持ちはどうなるんだっ!」
康兄様、和兄様、翔太兄様の言葉をどこか遠くで聞いていた。
覚悟はしていた。
16才の誕生日に石田のお母様から、手紙とあるモノが家に届いた。