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兄達に抱かれる夜

第8章 君は誰かな?





でも、待てよ。




恵麻の双子の兄なら、石田家じゃないのか、何故土御門家なんかに……?




「なんで、双子の兄である君が、土御門家なんかにいるんだ?」




そんな話は聞いた事がないよ。




俺の素朴な疑問にバカにしたように、鼻で笑う環、風が吹いて、木の葉がゆれて、長い黒髪が風に揺れて睨むようにこちらを見る。




濡れたように艶やかな瞳、その姿は恵麻そのものだ。




「養子に出されたんだよ、石田家には長男がいるし、僕なんか他に使い道がないからね、跡を次ぐのを狙ってると思われるのも面倒だから、こんななりだけど、ねぇ、あんたは恵麻の事、幸せに出来るの?」




急に質問されて、咄嗟に、




「は……?」




間抜けな答えを返してしまう。




「じじいが病気になって、急に仕来たりがはじまったんだと聞いたけど、恵麻はつらそうにしていないかな、泣かせたりしてない?」




「大事にしてるよ、少なくとも俺は、大事にしてる」




「ふうん……」




また、馬鹿にしたように、鼻で笑って、急に空気が動いたように、肩を突き飛ばされた。




ダンッ!




肩を押さえつけられて、ガレージの壁に押さえつけられた。




衝撃で痛む肩、情けないけど、動きが素早くて、ついていけなかった。




石田家は、なぎなた道場、しまった油断した。




「じゃあ、なんで、恵麻は悲しそうにしてるんだよ?
あんたらのせいに決まってるだろ?
大事にするつもりなら、傍を離れるなよ」




そんな事言われてもな、俺だって朝はいつものように、恵麻をドライブに誘ったし、学校に送るだけだけど、冷たく断られたし………って、なんで、こいつにそんな事言われなきゃいけないんだ?




多分、兄弟の中で、俺が一番不利なんだと分かっている。




俺は恵麻に嫌われている、可愛いから、ちょっかいかけて、意地悪したせいなのか、自業自得だけどね。




モデルの女の子を連れて、遊んでいたから、軽蔑されてるみたいだし。




傍にいたくても、恵麻のほうが、俺達に一線を引いてるんだから。




昔から、何かと理由をつけて、俺はそれを追いかけている。




しつこくして、嫌われたくないから、距離を置いて、様子を伺っているんだ。

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