兄達に抱かれる夜
第9章 こんなこと、もうやめて。
目が覚めたら隣に翔太兄様がいて、幸せな気分だった、さっきまで、無防備な寝顔を見て、暖かい気持ちになったのに。
あのまま一緒にいられたら、幸せだったのに、何もしなくても、ただ抱きしめてくれるだけで、それだけでいいのに。
ただずっと一緒にいるだけで、それだけで良かった。
確かな幸せがそこにはあった。
それだけで良かった。
ただ、一緒にいたい、だけなのに……。
何も……しないで欲しいのに……。
体は繋がり、快楽に溺れ、翔太兄様の心が遠くにいってしまう、気がして、不安になる。
どんなに激しく、深くに繋がっても、どんどん遠くなる。
翔太兄様の心はここにはない。
体だけの繋がりを、空しく求められて。
それを拒む事は出来ない。
それでも一緒にいたいと思ってしまうのは、どうしてだろう。
あたしを見て欲しい、もっともっとと、求めてしまう。
見て欲しいのは、体だけじゃないのに。
気付いて、欲しいのに。
伝えたくても、伝えさせて貰えない。
こんなにも、近くにいるのに。
こんなにも、遠い……。
もどかしい気持ちを抱えて、快楽に溺れていく。
あたしを見て、あたしに触れて、もっとあたしを求めて、気付いて。
気持ちを誤魔化すように、体を重ねていく。