兄達に抱かれる夜
第9章 こんなこと、もうやめて。
「………だめっ……壊れたっ……あたしの……壊れちゃっ……!」
「……壊れてねぇよ?」
ふっと笑う翔太兄様の顔が甘くて、優しくあたしの顔を覗いて、額と額をくっ付ける。
「びっくりしたか、壊れてねぇよ、恵麻のここは……俺が壊す訳ないだろう?」
あたしは泣きじゃくりながら、首を振る、初めて知った快楽に驚いて、本当にあそこが壊れてしまったと思っていた。
「だって、いつも……酷いしっ……こんなんじゃ、あたしの、壊れちゃうよっ……」
感情の波がいっきにあたしの心を支配して、本格的に泣き出してしまう。
「………ああ、悪かったな、お前にはちょっと、刺激が強すぎたか……」
優しい声、困った顔をして髪を掻き回して、そっとあたしのあそこの中から、濡れた指を引き抜いた。
「ちょっとじゃないよ、翔太兄様はいつもいつも酷いっ……」
「悪かった、今度から、優しくするよ」
優しく抱きしめられて、ベッドの上に抱き抱えて連れて行かれる。
優しくする。
するんだ、やっぱり……。
その言葉に悲しくなって、落胆している自分がいる。
ベッドの上に優しく下ろされて、その上に覆い被さる翔太兄様の表情は、確かに優しい顔だった。
あたしは泣きながら、呟いてしまう。
「翔太兄様なんか……キライ……」
…………違う、こんな事、言いたいんじゃないのに……。
伝えさせて貰えなかった言葉は、もっと別にあった筈だったのに……。
息を飲む翔太兄様、あたしを見下ろす瞳が、さっと陰り、次の瞬間には鋭く瞬いた。
「ああ、そうだろうな、だけどお前は、俺の子供を作るんだよ」
その言葉に胸が突き刺さる。
あたしの瞳は壊れてしまったのだろうか。
涙が溢れて止まらない。
違う、違うの。
伝えたい事は、別にあったのに。
あたしが好きな人は……。
あたしが好きな人は、誰だったの?
目の前にいる、鋭く冷たい目をした、人?
いつも、優しくて、あたしの好きなケーキを、内緒で食べさせてくれた、あの人、いつも一緒に笑っていられた、あの人は……。
この人じゃないの?
胸が………痛い。