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愛してるのに,愛せない(続)

第1章 スキマ(続きから)

((日高side))




千「もっと…話したい…です…」




真っ赤な顔で恥ずかしそうに言う千晃に,心臓が飛び出るんじゃないかというほど胸が高鳴った




ロビーで雑談で盛り上がっていたとき,急に千晃が真剣な顔になって話しはじめた





千「だっちゃん…あのね…さっき映画村で,秀ちゃんに…好きって言われたの…」





衝撃的言葉に飲んでいたお茶を吹き出しそうになった




日「それ,ほんと…??」

千「うん….返事は今じゃなくていい…って」

日「そ…っか……」





秀太の行動の早さに驚いたが,1番気になるのが千晃の気持ち…




日「千晃…は……まだ真司郎が好き…??」

千「ううん…全然好きじゃない」

日「じゃあ…これからは秀太と…その…付き合うの…?」




返事が返ってくるのが怖かったけれど




やっぱり千晃の気持ちが気になる




しばらく千晃は何かを考えていたが,ゆっくり顔をあげると口をひらいた




千「お断りする…かな…。もちろん私も秀ちゃんのこと大好きだけど,真ちゃんのときの''好き''とは違うの。多分,恋じゃないんだと思う。1人の男性としての''好き''じゃないのに付き合うことが1番,秀ちゃんを傷つけちゃうんじゃないかな…と思って…」




それを聞いて,千晃はほんとに友達想いだと感心させられた




でも,友達を想いすぎて自分の気持ちに正直になっていないようにも見えた




もし千晃が秀太のことを本当に好きなら応援してあげたいし,俺は千晃に「誰がを傷つけないための道」を進むのではなく「自分の選んだ道」を進んでほしい





日「千晃…,恋は結ばれる人とその影で傷つく人がいて成り立つものなんだよ。千晃だって,まさに昨日''傷つく人''を経験してる。これ以上,周りを優先して行動してたら千晃の本当の恋が結ばれる事はこの先絶対になくなっちゃうと思うよ?」




千「うん……」




日「傷つく人がいてあたりまえ。今さら気にしたって,仕方ないでしょ?''誰がを傷つけないための道''じゃなくて''自分自身で選んだ道''を進まなきゃ。そうでしょ?」




千「…うん…」




日「千晃が自分の意思で選んだ道なら,俺は賛成せる」




千「だっちゃんありがとう…」



千晃の目にもう迷いはなかった

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