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愛してるのに,愛せない(続)

第2章 傷

((日高side))






部室まで運ぶと,周りの部員が気をきかせて帰ってくれた




部室に千晃をそっと寝かせ,気持ちを整理したくて顔を洗いに行こうとしたとき



千「だっ…ちゃ………ん……行かない……で…」



いつの間にか千晃は目を覚ましていた




涙目になりながら訴える千晃を少しでも安心させたくて,今は千晃のそばにいようと決めた



日「大丈夫,どこにも行かないよ」



優しく声をかけると,一筋の涙が千晃の頬を伝う





気づけば夜の7時をまわっていた




俺はこっちの高校に来たくて親元を離れていたため帰りが何時になろうと構わなかった




千晃は親がいるから家に帰ってからも大丈夫だろうと思っていたが,前に聞いた話を思い出した



それは,千晃の両親が2度目の転勤で県外に行ったということ




この状態で千晃が1人で夜を過ごすなんてとてもじゃないけど無理がある




恐る恐る聞いてみた





日「千晃…?あの…さ…」

千「どうしたの…?」

日「千晃の家に…誰かいる?」


俺の言葉を聞いたとたん千晃は青ざめ,涙目になった



千「だれも……いないよぉ……1人……怖い…」


日「まじかよ………」


千「だ…っちゃんに……いてほしい…」



千晃の気持ちを楽にさせてあげたくて,今日は自分の家に泊まらせてあげることにした

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