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愛してるのに,愛せない(続)

第2章 傷

((千晃side))







だっちゃんになら話せる気がして








初めて過去のことを人に話した









話してる途中も胸が痛くて,涙で視界が大きく揺らいだけれど








全てを話し終わると,なぜか痛みが少し消えていった気がした









どこまでも優しくて,ふわっと抱きしめてくれた腕の中はだっちゃんの匂いがして,なぜか大粒の涙が溢れた



















千「だっちゃん……」

日「どうした…?」

千「人生って…ほんとに理不尽だよね…」

日「……」







本当はこんなこと言うつもりはない



でも自然に言葉を発してしまう








千「なんで…なんで…」

日「……」

千「なんで…私ばっかり…」

日「……」

千「ママもいなくなっちゃうし……友達には嫌がらせもされて…おまけにレイプもされて……」

日「……」

千「みんなひどいよ…私だけ辛い思いして……」







言い出したらもう止まらなかった







千「だっちゃんはさ,ずるいよね」

日「………」

千「なんでもできちゃうんだもん。いいことばっかりの人生なんて,ずるいよ」

日「……」

千「みんなもひどいよ。宇野ちゃんだっていたのに,私だけレイプされて…私だけ怖い思いして……まだあんなことしたことなかったのに…」

日「……」

千「みんななんかだいっきらい…」









こんなこと言うつもりなかった





言いたくなかったけど,言ってしまった







今まで抱えていたものを,目の前にいるだっちゃんにぶつけてしまった







私を助けてくれた人に当たってしまった









だふと顔をあげると,だっちゃんはなぜかにこにこしていた

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