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第6章 Valentine's day
一般企業の昼休みが終わる頃、つまり13時過ぎまで月島と一緒に服やら家具やらをみてまわり、人波が減ってくると、なんとも言えない緊張感を持ちながら少しずつチョコレート売り場に近づく
「赤葦さん、これ、イケますよ」
「…月島、眼鏡の度合ってる?」
「…バッチリですよ。なんせ三ヶ月前に眼科に行ったばかりですからね」
「…そうか、俺、視力は良い方だと思ってたけど、そろそろだめかな」
「…。」
俺たちがこんな会話をするのも無理はない(と思ってほしい)
俺たちの目の前のチョコレート売り場はさっきよりはましになったものの、人(女性)で溢れているからだ
「赤葦さん、女装しますか」
「月島、何が言いたい」
「…一人でいってきてください」
「無理。そんな勇気があったら月島今ここにいないよ」
「…。」
暫しの沈黙の後、月島がため息をついた
「…行きましょう」
そう、その目はまるで試合でドシャットを決めたときのような…
すごくギラギラとしていてゾクゾクする目だった
「はいっ(キュンッ)」
