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第6章 Valentine's day
俺と月島が決死の覚悟で突っ込んだチョコレート売り場はほんとに女性だらけで正直ずっと腰が引けていたが、二人とも怖い顔をしていたのだろう、目の前に道が開けた
まるでモーセが海を割ったときのようだと思いつつチョコレートへと進んだ
(実際は、二人のタイプが違う長身イケメンがアンニュイな様子で突然現れてざわついただけ)
「赤葦さん、今更ですが価格帯は」
「一番高いので良いよ」
「チッ…これだから高級マンション管理は…」
「(とても良い表情だなぁ…)木兎さんに雇ってもらってるようなもんだからね、ことあるごとにいっぱいお返ししないとね」
そんな会話をしながらバラエティーパックとかパーティーセットとかのような量と大きさを兼ね備えた箱のチョコレートを買い、店を出た
「月島、ほんとにありがとう」
「イエ、大丈夫ですよ。ただし、次はないですよ」
赤葦は月島に少し怖い(かなり狂気的な)顔を向けられたが気にせず、むしろ喜んでいた
「うん(笑顔)」
その後お礼だと立ち寄った喫茶店で美味しいショートケーキを食べた月島はすっかり元気になり家に帰った
しかしながら「木兎さんはあんなにお世話してもらってるから十分でしょう」と言う言葉を最後まで言えず、家に帰ってからとても悔しい思いをした
