Baby love
第14章 翔くんのお見合い。
なんか腹が痛い。
見合いの時間が近付くにつれ、俺の不安はどんどん増していく。
潤に告げられるかもしれない別れの言葉。
もちろん受け入れるつもりは無い。
考え直してもらえるように話を持っていこうとは思っている。
でも、潤相手だと冷静さを欠くという自覚はある。
上手く伝えられるだろうか・・・
こんな日に限ってスムーズに仕事が終わるもんだから、腹が立つ。
潤とデートの約束した日に仕事が巻いた事なんか1度も無いのに。
S「あー、腹がいてぇ。」
重い足取りで約束の店へ行く。
見合いなんて堅苦しいもんじゃないと散々言っていたが・・・
高級レストランの個室へ案内されて、また気が重くなった。
帰りてぇ・・・。
「翔っ!もう、遅かったじゃない!」
中には、すでに俺以外揃っていた。
母さんが俺を手招きして呼ぶ。
S「・・・お待たせして申し訳ありません。
仕事がバタつきまして。」
「とんでもない!お忙しい時に無理言ってしまったみたいで。
こちらこそ申し訳ない。」
相手の父親が笑顔で話す。
「いいえ!私共も早く2人を引き合わせたかったんですもの。
絶対お似合いだわ♡」
「母さん、落ち着きなさい。」
父さんに窘められるも、全く気にしていない様子の母さんは、ご機嫌で相手の両親と喋っている。
「翔、座りなさい。」
S「・・・ああ。」
ここで、初めて相手の女性と目が合って、驚いた。
S「・・・・・え?」
「お久しぶりです。」
ペコリと頭を下げて笑っているこの子は・・・
S「松本のファンの子!」
「ふふ、櫻井さんのファンでもありますよ?」
仕事関係の飲み会で会って、メンバーとの飲み会でも偶然会った、あの時の女の子だ!!