Baby love
第4章 近付けない。
M side
はぁ・・・
疲れた。
時計をチラッと見てまたため息が出る。
明日は朝が早いのに・・・
もうとっくに日付けが変わって、急いで寝たとしても数時間も眠れない。
久々にこんなに飲んだ。
友達に、良い加減帰れと言われて渋々解散となったけど・・・
まだ1人になりたくなかった。
もっと酔わなきゃ、翔くんの事考えちゃうじゃん・・・
ポケットからスマホを取り出して、しばらく眺める。
声が聞きたい・・・
着信履歴の 櫻井翔 という文字を見ただけで、胸が締め付けられた。
・・・デートか、なんて。
バカじゃねーの。
あんだけ頻繁に俺を食事に誘っておいて。
俺が断った事なんかあった?
無いだろ。
他にデートする相手なんかいないっての。
2人きりで会う事にドキドキして、翔くんを一人占めしてるんだ、なんてデート気分だったのは俺だけか。
そりゃそうだよな。
翔くんが俺を構うのは、昔を懐かしんでるだけだ。
・・・俺の本音は、どこにあるんだろう。
いまだに翔くんを好きだと認めたくない自分がいる。
そのくせ、翔くんに特別に想ってほしいなんて考えている自分がいる。
何でもできる完璧なスーパーマンのようなイメージだった翔くん。
そんな翔くんに憧れてた俺は可愛いガキだった。
今の翔くんをスーパーマンだとは思わない。
部屋が汚いし家事は一切できない。
ちょっと鈍感でデリカシーにも欠ける。
酒に酔って正体を無くすなんて、正直引いた。
それに、意外と遊んでるのかも・・・
・・・何で、好きなんだ?
だって、翔くんはカッコ良い。
黙ってると本当に整った品のある顔なのに、いつもバカみたいな事して皆を笑わせてくれて。
自分も大きな声で笑うんだ。
優しくて頭が良くて面倒見が良くて。
・・・俺の作った料理を美味しいと言ってくれた。
ねぇ、翔くん。
俺が素直になったら、こっち向いてくれる?
M「・・・バカか、俺は。」
この気持ちを伝えられるはずがない。
そんな勇気、無いくせに。
なのに翔くんに優しくされたいと思う自分は勝手な奴だ。
静かな部屋で、時計の音だけが響いている。
また寝不足だ。
ベッドに行く元気もなく、ソファにドサリと倒れこんだ。