Baby love
第6章 キスしようよ。
M side
キス・・・しようとしたよな?
翔くんの顔がすぐ近くにあって・・・
色気たっぷりな目で真っ直ぐに見つめられて・・・
俺を試すようにユックリと、少し顔を傾けて唇に近付いてきた。
誤魔化そうとすれば出来たし、ハッキリ拒む事も出来た。
でも、俺は動けなかった。
いやたぶん・・・動かなかったんだ。
翔くんからキスされたかった。
M「・・・・・。」
料理をバクバクと食べる翔くんを、横目で気付かれないようにチラっと見る。
あーあ、ソースが口の端についてるよ。
いっぺんに口に入れる量が多いんだってば。
・・・キスしたかったな。
グラスの倒れた音がした瞬間、バッと俺から距離を取った翔くん。
ちょっと傷付いたんだけど。
あんな焦って離れなくても・・・
M「はぁ・・・・・」
ダメだな、欲張りになってる。
翔くんとキスなんかしたら、もうブレーキが外れて突っ走っちゃうだろうに。
S「潤?遠慮せず飲めよ?」
ボケっとしてたせいか、翔くんに心配されてしまった。
モグモグしながら喋る翔くんの頬がパンパンに膨れていて可愛い。
M「飲んでるよ?今日は潰れても面倒見てくれるんだろ?」
潰れるまで飲む気なんか無いけど、冗談で言ってみた。
S「もちろん。部屋までちゃんと送ってやるよ?」
M「っ・・・。」
S「家の鍵、どこに入れてんのか教えとけよ。」
・・・ホントに、部屋まで来てくれんの?
優しい笑顔に、優しい声色の翔くんにキュっと胸が締め付けられる。