Baby love
第7章 触れる。
雅紀が支払いを済ませてくれていたおかげで、すぐに車に向かう事が出来た。
助手席に座っている潤は、ぼんやり外を眺めて一言も喋らない。
・・・怒ってるんじゃないよな?
・・・あ、眠いのかな。
家の鍵、どこに持ってるんだろう。
1人で歩けるかな?
歩けなかったらおんぶにするべきか抱き抱えるべきか。
抱き抱えたらエロいとか思われるかも。
やめとこう。
色々と考えを巡らせていると、あっという間に潤の家に到着した。
寝てるかも、と思ったが駐車場に車をとめるとすぐに助手席から降りた。
スタスタとしっかりした足取りで歩いていく潤を慌てて追いかける。
S「・・・大丈夫か?」
M「ん。」
短い返事だがすぐに反応するし、あんま酔ってないのかも?
俺部屋まで送ってく意味あるかな。
何でついてくるんだとか思われてたらどうしよう・・・
S「俺送り狼とかじゃ無いからな?!」
M「・・・何言ってんの。」
表情を変えずに喋る潤は怖い。
あれ、怒ってる??
やっぱ怒ってる感じ?!
何が原因だ・・・
俺は一体何をやらかしたんだ?!
M「・・・入んないの?」
いつの間にか潤の部屋まで到着していた。
玄関から俺を不思議そうに見ている潤は、酔ってるんだか酔ってないんだか、怒ってるのか怒ってないのか分からなかった。
S「・・・お邪魔します。」
美人が笑ってないとこんなにも怖いんだな。
相変わらずモデルルームのようにキレイに整えられた部屋。
コートを脱ぐと、潤がハンガーに掛けてくれる。
M「送ってくれてありがとう。
コーヒーでも飲む??」
S「え?いや・・・お構いなく・・・」
M「なに畏まってんの。笑」
お前が怖いんだよ!
こっちは引かれないように嫌われないように必死なんだっての!
香りの良いコーヒーを出され、面倒を見るはずがもてなされてる状態になっている自分が情けなくなってきた。
S「なんか、あんま酔ってないよな?
部屋にまで来ちゃって悪かったな・・・」
なんとなく居心地が悪いまま、コーヒーを一口飲む。
美味いなこのコーヒー。