
Baby love
第8章 伝いたい気持ち。
M side
俺の事・・・好き??
黙って俺の前を歩く翔くん。
触れたいな。
ちょっとだけ・・・ダメかな。
ダメに決まってるよな。
ここ仕事場だっての。
楽屋に着くと、まだ誰も居なかった。
2人きり・・・
いつものように新聞を広げた翔くんに少しガッカリする。
こないだのキスの事も何も言わないし・・・
俺から聞いちゃおうかな。
どうやって話しかけようか考えていると、翔くんのスマホが震え出した。
S「・・・もしもし。ああ、今もう仕事だから。」
・・・誰だろう?
何か機嫌の悪い声。
S「・・・はぁ?!ちょ、待って、」
立ち上がった翔くんは、俺をチラッと見ると楽屋を出て行ってしまった。
M「・・・」
聞かれたく無い話って事か。
何だろう、すごく嫌な予感というか・・・
そっとドアを開けて見ると、電話をしながら歩く翔くん。
気になる。
こんな事絶対ダメだけど・・・
こっそりあとをつけて行くと、人通りの少ない方へどんどん進む。
ピタリと足を止めたので慌てて隠れた。
S「・・・分かった。見合いすりゃ良いんだろ。」
・・・・・え?!
S「納得はしてねーよ。
見合いした後のことは口出さないって、その約束は守ってくれよ。」
M「・・・」
翔くんが見合い・・・誰と?
S「・・・だから結婚なんかまだまだ先の話だって!」
結婚・・・
次々と出てくるワードに、心臓が壊れそうなくらいドクドクと鳴る。
目眩がしてきた・・・
手足が冷えていくのが分かる。
これ以上ココにいたダメだ・・・
M「・・・翔くん」
さっきは気付いてくれたのに。
M「・・・翔くん、」
もう一度呟いてみても、翔くんは振り返ってくれなかった。
