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愛すべき存在

第1章 愛すべき存在

 あれから一年がたった。

 今日はあの夏祭りの日の続き。新しい浴衣に身を包み春斗と会っている。

 今日は地元の夏祭りじゃなくて春斗のいる地、東京の花火大会だけど。

 人がたくさんいて、がやがやとしたこの雑踏の中、春斗と私は手を繋ぎ歩いている。そして──。

 ふと懐かしい香りがする。チラッと見ると和樹に似た人がいた。春斗は立ち止まり、私を見て首を傾げて聞く。

「沙希、どうした?」

「何でもないよ! 春斗、大好き!」

「えっ? あっ……あぁ。俺も」

 微笑んで、また歩き出した。

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