愛すべき存在
第1章 愛すべき存在
花火大会後。
私と春斗は旅館にいた。今日は二人で旅館に泊まることにしていた。
もちろん親に許しは得ている。
「可愛い子には旅をさせろって言葉があるでしょ!」
なんて言ったら
「その代わり帰ったらいっぱい勉強しろよ」
そんな条件付きで、渋々許してくれた。
「沙希、本当にいいの?」
「いいよ」
私と春斗は──肌を重ねた。
あの日と違って、ちゃんと受け入れることができた。
それはきっと、春斗を本気で好きになったから。
「沙希? 大丈夫だった?」
「大丈夫だったよ。今までずっと支えてくれた。そんな春斗のこと、愛してるもん。だから今は嫌じゃなかった。嬉しかったよ」
春斗の腕の中は、心地よくてとても気持ちがいい。
「沙希?」
「何?」
「沙希が二十歳なったら結婚しよっ! ずっと一緒にいたい」