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FRIENDs -ars短編集-

第2章 1つの嫉妬 S×M

Mサイド


目を開けると、真っ暗で。

独特な臭いと翔くんのいい匂いが交じって
鼻の奥が変になる。
昨日翔くんの胸の上に
吐き出してしまったことを後悔した。

翔くんの匂いだけでいい。


でもそのかわり、翔くんの温もりと
一定の音が耳の中に響いて心地いい。

翔くんの男らしい腕の間から顔を上げると、
すぐそこに翔くんの可愛い寝顔。
だから、朝もそんなに嫌いじゃなくなった。


恐る恐る手を伸ばして鼻の頭をツンと突っつく。

翔くんが眉間にしわを寄せたのが面白くて
もう一度、同じように突っつく。

その瞬間、肩から重みが消え
同時に手が掴まれる。


「…朝からどうしたの…?まだ足りない?」


朝特有の少し掠れた低い声でそう呟かれ、
俺は顔を真っ赤にして首を横に振った。

翔くんはそれを見て意地悪そうにニヤーッと笑う。


「昨日の潤、可愛かったよ♡」


そう言って、俺の手を掴んでいた手で
頭を優しく撫でる。

少し戸惑ってから翔くんの瞳を見ると
これ以上ないくらいに優しく微笑んでいて。
そんな翔くんの瞳に、
また顔の熱が上がるのを感じる。


「…っあ、あんなの、翔くんのせいだよ。
翔くんがビヤク、なんて…」


翔くん、媚薬なんて使うなんて…
相葉くんの作戦、大成功すぎて逆に恥ずかしい…

そう思いながら、無意識に
頬を少し膨らましていたみたいで。


「…っもぉ…なんで朝から
そんなに可愛いかなぁ?潤は…」


なんて言いながら俺の頬を突っつく。


「でも…」


頬を突っついていた指がパッと離れて、
かと思えば頬に緩く抓られる感覚。


「相葉くんのことかっこいいって言うのは…

ぜぇったい!許さないからね!」


今度は翔くんが頬を膨らませる番だ。

ていうか、見事に騙されてる…
本当のこと言った方がいいのかな…

俺は、怒られるの覚悟で息を吸い込んだ。


「…俺、翔くんしか好きじゃないし、
かっこいいなんて言わないよ!」


勢いでそう言い切ってしまうと、
翔くんは大きな可愛い目を
更に大きく開いてフリーズしていた。

そんな翔くんに続けて告げる。


「あの…全部相葉くんの作戦でね…?」


全ての事を話し終えた頃には、
なぜかお互い真っ赤で。

それが面白くて2人同時に、思わず笑った。

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