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FRIENDs -ars短編集-

第3章 イタズラ M×N

Mサイド


ドアを開けて、1番最初に
俺の耳に飛び込んできたのは
愛しい和の鳴き声。

足音をしのばせて廊下を進むと、
その声がするのはトイレの中。


可愛い鳴き声と共に聞いたことのある機械音。

それは紛れもなく、和のナカに入れたアレ。



俺は急いでカバンをなおし
コートも脱いで和が出てくるのを待った。


トイレの中から聞こえてきた
ひときわ大きな声と物音。

それは和がイったことを示す合図。

その合図で、俺はトイレの前に立つ。


水を流す音が聞こえ
ゆっくりとドアが開く。

ドアから覗き見えたのは
少し火照った和の顔。


ひどく焦った様子で、パタンと、もう一度
ドアが閉まってしまった。


「え、っと潤くん…いつから、いた…?」


ドアの向こうから和が不安そうに問いかける。


「たぶん、最初の方から…」


そう答えても、ドアは開く気配がない。

和は今、この扉の向こうで焦っているだろう。

ガタガタと何かの音がする。


「和…?出ておいで。

…絶対何もしないから。」


まだ…ね?


そう呟くと、またゆっくりとドアが開いた。

ドアの隙間から覗いた顔が
平行な眉をハの字にして俺を見つめる。


…こんな顔されて、何もしない訳ないでしょ?


俺はドアノブを掴み勢いよく開ける。

和がそのまま俺の胸に倒れてきて、
思わずギュッと抱きしめる。

さっきまでそういうことをしていたからか
身体が少し熱を帯びていて、
その時ふと、あるものを思い出した。


「和、ご飯食べよっか。…ね?」


やっぱり、和も期待してたんだよね。

名残惜しそうに頷く。
そんな和の手を引いてリビングに入る。


「ご飯作ってくるね。ゲームしとく?」


一応気を利かせて言ってみたけど、
和は横に首を振る。


反対方向に歩き出した和は、
そのままソファに体育座りをする。

怒らせちゃったかな…


和を気にしながらも
キッチンに向かってご飯を作る。

その途中で家に置いてあったままの
前に使った媚薬をスープに垂らす。


「和、出来たよ。」


出来上がったものを運びながら
まだ拗ねてるような和に話しかける。

黙ったまま席に座り、
小さくだけど、ちゃんといただきます
と言ってから食べ始める。


スープを飲む和を見て
密かに笑みを浮かべた。

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