テキストサイズ

FRIENDs -ars短編集-

第3章 イタズラ M×N

Mサイド


和の声が響く部屋のドアを開け廊下に出る。

開けたドアを静かに閉め、ドアにもたれかかり
そのまま滑っていって座り込む。


「何してんだ俺。」


部屋の中から俺の名前を呼ぶ声が聞こえる度、
胸が苦しくなって。

忘れたはずの心がまた蘇ってくる。

感情のままに動いてたら
いつの間にかこうなってた。

もう、どうしようもなくて。
どうしたらいいかわからない。


頬に伝う水が、膝を濡らす。

溢れて止まらなくて、
和の呼ぶ声に何度も止めてあげようと思った。

でも、身体は思った通りに動かない。

俺の名前に交じった喘ぎ声に
息子はむくむくと起きあがってくる。


その10分後には、
もう涙も止まっていて。

あ、今イったな…

なんて考えれるほどだった。


ずっと床に座っていて腰が痛い。


「っふ、はぁ、っく…ぃ…ぁ…」


部屋からそんな声が聞こえ
立ち上がると、少し目眩がして
ドアの方へ倒れてしまう。

その時、手がドアノブにかかって
体重でドアが開いてしまった。


「…和。」


ベッドの上で縛られて、目隠しされて
蕾から玩具のコードを垂らしてる和。

自分がしたんだってわかってても
少し前の自分にまで嫉妬してしまって。

止まったはずの涙が、
どうしても零れ出てくる。

泣いちゃダメだって思っても
余計にボロボロと大粒の涙が溢れてくる。


「じゅん、くんっ…ひっ、く…っ、はぁ」


俺は、まるで何億もする宝物を触るかのように
和の顔に手を伸ばし、頬を撫でた。

濡れてた。
和も辛かったんだって実感して
いろんな気持ちが混ざる。


じっと頬に手を添えていると
和の身体が跳ねていることに気づく。


「あ、んっ…じゅんくっ、とっ、て…っは…」


やっぱり…辛かったんだ…


「うん…ごめんね、辛かったよね。」


そう言いながら和のナカに
埋まったものを取り出す。


「な、んで…っはぁ、謝るの…っふ…はぁ 」


呼吸を整える和の目隠しを取ると、
真っ赤になった目が出てきた。


それを見てまた
一粒、二粒と涙が出てくる。


「なんで泣いてるの?!…っ、俺のせい…?」


和は焦った様子で言って
自分を責めだす。


「違うよ…?…和のせいなんかじゃない…
…っふ、はぁ…全部俺のせいなんだ。」


俺も呼吸を整えた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ