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FRIENDs -ars短編集-

第4章 ここにおいで A×M

Aサイド


頭がガンガンする。


目を開けると、見慣れた天井が見え
夢か…と起き上がると
目の前がふわっと白くなりかける。

体もダルく、また同じように
ベッドに沈み込んでしまった。


あれ、夢じゃなかったの…?



「あ、起きましたか?おはようございます。」


誰…っ!?


バッと起き上がると、
白くぼやける風景のあいだから
昨日の路地裏のお兄さんが見えた。


「あ、えっと…おはようございます。
昨日俺どうしたんだっけ…?」


俺が首を捻ると、
その人はいきなりガバッと頭を下げた。


「昨日は、すみませんでしたっ!!」
「え、え、なんで謝って…」


…あ!思い出した。

俺、首を…


俺は慌てて首を触る。


特に何もなってない…なんで…?


「あ、傷は消しておきました。

それより、倒れさせてしまって
本当に申し訳ございませんでした…」


傷を…消す?

待って、俺は何をされたの?
なんで倒れたの?


バカな俺には到底理解できなかった。


「あ…ごめんなさい。
急に言われてもわかんないですよね。
ホントは言っちゃいけないんだけど…

…俺、吸血鬼(ヴァンパイア)なんです。」


…へ?


「吸血鬼(ヴァンパイア)。です!」


この人、俺よりバカなの?


「あのね?俺も人間と
吸血鬼の違いくらいわかるからね?
バカにしないでよ。」


濃いめの眉毛を思い切りハの字にして
俺を見つめてくる。

それがバカにされてるとしか思えなくて
俺はダルい体を起こして
その人を玄関まで押していった。


「俺、そこまでバカじゃないから!
声かけなきゃよかった…!

早く帰ってくださいっ!」


俺はドアからその人を追い出し
素早くドアを閉めカギをかけた。


…はぁ、なにあれ…

吸血鬼って、バカじゃないの?

いるわけないじゃんそんなの。


きっと、俺の首に何かしたのも
冷やかしかなにかだ。

バカにしたんだ。

わざわざ口にケチャップまで付けて。


せっかく声をかけたのに、
俺はなんだか損した気分だった。

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