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FRIENDs -ars短編集-

第4章 ここにおいで A×M

Mサイド


それから2週間。

いや、正確には2週間ではないかもしれない。


時間の間隔がわからなくなってきて
もうそろそろこの生活も限界。


本当はダメだけど、山の動物たちの血を飲んで
それで辛うじて生きてきた。



俺、ちゃんと記憶消せたかな。
あいつ何してるかな。

もう夜だから、あの路地裏の近くにいるかな。


考え出したらきりがなくて、
あいつと初めて出会った路地裏に向かった。




「まぁ、いないよな…」


そこに着くと、案の定誰もいなくて
がらんとした路地裏に少し寂しさも感じた。


ここって、こんな暗かったっけ…

前はもっと明るかった気がする。


気のせい、かな。


俺は暫くそこに立ち尽くしていた。







そうしてあいつと会わなくなって
早くも1年が経った。


あれから俺は、バイトをしながら
仕事を探して毎日必死に生きてきた。

でも仕事なんか見つからず
バイトばっかり忙しくて
あいつのことなんか思い出しもしなかった。




そんな時だった。


今日もいつも通りバイトに向かおうと
人の多い大通りを通る。

そういえば今日の面接何時だったかな、と
スマホを確認しようとした。


でもあるはずのスマホがない。

横断歩道を渡る前にはあったのに…


あるとすれば、この人混みの中のどこか。


こんな中探すのなんて無理だろ…



「あの…落としましたよ?
…あぁ、これ割れちゃってますね…」


急に話しかけられ、思わず牙を剥きかけて
声の方へ振り返る。


「あ…」


見覚えのある顔。




そこにいたのは、画面の割れたスマホを
難しい顔で見つめる、あいつだった。

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