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FRIENDs -ars短編集-

第6章 王子様とペット。 A×NM

Aサイド


起きたら思いっきり拗ねてやろう。

そう心に決めて、もう一度眠りについた。




朝目が覚めると、俺はベッドの下にいた。

やっぱり落ちたみたいだ。


ベッドの上を覗くと和だけがいなかった。


リビングの戸を開けると、
和食っぽいいい匂いがして
キッチンにはエプロン姿の和がいた。


「…和?」
「あ、相葉さんおはよ。
ご飯作ってるから手伝ってくれる?」
「う…」


うんと言いかけて止める。

途中で止めた俺を何事かと和が
キッチンの奥から覗いてくる。


そうだそうだ。拗ねてるんだった、俺。

和と潤がぴったりくっついていた光景が
脳裏に浮かんでくる。


俺は和の言葉を聞かずに
そのままソファへ倒れ込む。


「眠い。」


一言だけそう言って
あとは眠ったようにじっとしていた。


待てよ…これって眠いからって理由で
ただ手伝ってないのと変わんないんじゃ…


もっと拗ねないと!

そう思っていたのに、和は優しい声で言う。


「えー?もう、しょうがないなぁ~。」


足音が遠ざかって少しだけ顔を上げる。

和はまた俺のところに来ると
暖かいものが俺を包み込む。


これ…


和は毛布をかけてくれたらしい。


「あーもー、計画狂っちゃった。」
「はい?」


キッチンに向かって歩こうとしていた和に
せっかくかけてくれた毛布も投げ捨て
後ろからギューッと思いっきり抱きついた。


「ぅっ、ちょ、相葉さ…」
「もー好き!和ちょー好き!大好き!」


思わずそう言ってしまうと
和は驚きながらも後ろを振り向いて
その視線が俺を捉える。


「何言ってんですか。俺も好きですよ。
んふふ、大好き相葉さんっ!」


和の体が俺の腕の中で反転して
和も俺の後ろに手を回してギュッと抱きつく。


「…バカ!」


へ?

俺が瞑っていた目を開けると、
和越しに見えた潤の姿。


「何俺ほったらかしてイチャイチャしてんの?
やっぱり相葉くん和の方が好きなんじゃん!」
「は!?潤の方が好きだよ!
あ…!いやいや、そうじゃなくて!
和も好きだよ!でも潤も好き!ね?」


もういいよ…と吐き捨てて
潤はまた寝室に消えていった。

腕の中にいる和は
口を尖らせて上目遣いで俺を見ていた。

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