君の愛しい玩具
第4章 獅子の崖
僕の手には―…メデル君の手の温もりがする…
ネクタイピンだけが残された…
バグも無い―――…
キスも無い――…
ただ…欲を吐き出された…
それだけ――――――――…
なのに…
メデル君のくれた…ネクタイピンも…ハンカチも…
暖かく感じるのは…
何でだろう…
僕は、ネクタイピンをそっと…胸に戻し…
ハンカチを口元に寄せた…
ふわり…と、メデル君の香りがする…
陰部を拭いただけあってか…メデル君の香りが濃い…
「………メデル…君の…バカ…」
僕は、個室で一人…ハンカチに涙を落とした…