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第11章 I4U

西島side





千晃の姿を追いかけようとしたものの,すぐに見失ってしまった





あわててみんなに電話をかけ,小屋まで来てもらう






真「にっしー…お前ほんま何しとんねん」

浦「喧嘩の前に!はやく探さないと…」






森の中を,ひたすら千晃の名前を呼びながら駆け抜ける



秀「どこまで行ったんだよ…千晃…」


日「もう戻ってたりしないよね?」


真「俺,1回戻って見てくる」







もう何分走っただろうか




みんなの疲労もすでにピークに達している





浦「これ以上は無理だ…先生に伝えよう…」




直也くんがそう言ったそのとき




後ろの方でガサガサと音が鳴った





西「おい…今のって…」





一斉にみんなが,音がした方へ走り出す








そこには,木にもたれながら座る千晃がいた






服は原型がわからないほどまでに千切られ,体には白い液体がたくさんかかっている



足元には,生々しい血の跡があった




何があったのかなんて,言われなくてもわかる






西「千晃っ!!!!!」


千「来…ないでっ!!!!」



千晃の声が森に響き渡る





千「怖いの…お願い…」





千晃の目は恐怖心に満ちていた


たまらなくなって抱きしめようとするも,千晃は拒み続ける




千「やめて…みんな…が…怖いの…」





あんなにも一緒にいた俺たちのことさえも

"敵"

そう捉える千晃に,段々と苛立ちが募る



手を出してちゃいけないのはわかっている



でも,思考が追いつかない




いつの間にか俺は千晃を殴っていた






浦「おい西島!!!」


真「にっしーほんまさっきから何考えとるん!?いい加減に…」


西「そんなに俺らのこと信用できないのかよ…」






怒りとか悲しみとか,そんなんじゃない


ただ,悔しかった







横を見ると,秀太も泣いていた







西「あんなに…一緒に…遊んだのにな…」


日「西島…」


西「はは……やってらんねえよ!!!」





感情がコントロールできない


この場にいる全員が,気持ちのやり場に困っていた

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