テキストサイズ

第11章 I4U

千晃side






脱衣所で,改めて自分の体をよく見る



ぶつけていないのに,体にはいくつかあざのように赤い部分がある




胸には噛み付かれた跡,手首には押さえつけられたときの跡が残っている





明日は水着を着なくてはいけない



こんな体ではまずい





それに,お腹の下がやけに痛む




男たちの感覚を消したくて,体中を痛いほど洗い流した








お風呂に入って,既に1時間は経っている






薬のせいか,のぼせてしまったのか…すこしめまいと吐き気がある








ゆっくりリビングのドアを開けると,秀ちゃんがまだ起きていた





千「秀ちゃん?私のこと待ってたの?」

秀「う〜ん。なんか寝れなくて(笑)」






正直,1人で寝るのは怖かった


こういうとき,何も言わなくても気づいてくれるのが秀ちゃん





秀「体調どう?」


千「少し吐き気する…」


秀「じゃあもう寝るか」






暗いのが怖くて,リビングの電気が消える前に寝室に移動する




けれど,寝室もみんな寝ているため真っ暗



自分ひとりのために電気は付けられない




我慢して進もうとしたとき,秀ちゃんに後ろから手首を掴まれた



あまりにも突然すぎて,思わず手を振りほどいてしまう



千「あっ……」



跡になっている所を掴まれたのが痛かった

それ以上に,突然触られたのが怖かった






秀「…ごめん……」


千「ううん…秀ちゃんは悪くないの…ごめんね…」


秀「…千晃,怖いなら正直に言って。そばにいるから。」




秀ちゃんはもう1度優しく私の手を取ると,ゆっくりとリビングの電気を消した






やっぱり暗い所は怖くて,どうしても手を握る力が強くなってしまう




それでも秀ちゃんは,私の歩幅に合わせてくれる






布団に入ってからも,ずっと手を握ってくれていた

ストーリーメニュー

TOPTOPへ