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千晃side






秀ちゃんに連れられて,岩場へと足を運ぶ





岩の上からは,みんながはしゃぐ姿がよく見えた



綺麗な肌の女の人たちが,水着を着て楽しんでいる



パラソルの下では,水着のカップルが楽しそうにかき氷を食べている



それに対して,私は…



せっかく買ってもらった新しい水着



こんな傷だらけの肌じゃ似合うはずもない



悔しくて悔しくて,涙がこみ上げる







秀「千晃…」

千「ごめ…だいじょ…ぶ…だから…っ…」




秀ちゃんはいつもみたいに笑って,またさっきみたいに優しく抱きしめてくれた





千「ねえ…秀ちゃん…」

秀「ん〜？」

千「なんで……なんでわたしばっかり……」

秀「うん…」

千「なんで私だけ…こんなひどい目に合わないと行けないの…？」

秀「…」

千「ねえ…お願い…教えてよっ…なんで…わたし…何も…」







溢れる涙が頬を伝う


誰にも言えなかった本音


心の中にしまっておいた感情


1度見せてしまうと,もう止まらなくて




どこまでも受け止めてくれる秀ちゃんに甘えてしまった





千「わかんないよ…もう…」





秀ちゃんは少し私から体を離すと


髪の毛を優しくかきあげ,おでこに優しくキスをした





と思えばまた私を優しく抱きしめ,頭を撫でる







大丈夫




そう自分に言い聞かせてたけど


まだ誰にも本音を言えてなかった


多分,秀ちゃんはそれに気づいてた


だからなのか,私が何を聞いても驚かなかった


むしろ,優しく微笑みかけてくれた


いつのまにか心の中につっかえていたものがすうっと消えていくような,不思議な感覚になる




千「秀…ちゃん…」

秀「ん〜？」

千「ありがとう…」





今の精一杯の笑顔でそうつぶやくと


秀ちゃんもとびっきりの笑顔で抱きしめ返してくれた





秀「俺が前に言ったこと覚えてる？」

千「ん…なんだろ…」

秀「千晃は笑いたい時に笑って,泣きたい時に泣けばいい、全部受け止めるから。守るから。」

千「うーん…はじめて会った日…の帰り…？」

秀「正解。（笑）」