テキストサイズ

第11章 I4U

日高side





トイレから出た時


目の前を小さな女の子が横切った


顔を見なくても誰かわかったから,走って追いかけると


たどりついたのは屋上


そこには,また過呼吸を起こしかけてる千晃の姿






千晃の話を聞いて,俺の中であるものが繋がった





日「千晃が不安になる必要,全くないよ,それ」

千「え…?」

日「秀太とのことは,自分で確かめるべきだと思う。宇野先生が言ってることは正解」

千「…」

日「できることなら言いたいけど,これを俺たちの口から言ったところで,余計に秀太と千晃の溝を深めるだけ。だから,これだけは言えない。ごめん」

千「わかった…」

日「千晃はさ,どうして西島と付き合おうって決めたの?」

千「にっしーに告白されて…まだ,何が恋なのかわかんなくて…でも,にっしーやみんなのことは本当に大好きだから」

日「…じゃあ,質問」

日「千晃が大切だって思う人の中で,一番最初に笑顔が浮かぶ人はだれ?」

千「……秀…ちゃん…」

日「答え出てるじゃん。(笑)」

千「好き…って…こと?」

日「千晃が秀太のことで苦しんでるのも,その気持ちがあるからじゃない?」




目からぽろぽろと涙を溢れさせる千晃





日「気づくのほんと遅い(笑)」

千「けど…私…にっしーと…」

日「大丈夫。西島なら絶対わかってくれるから。俺たちは何があろうと壊れない」

千「だっちゃん…ありがとう…」

日「いいえ(笑)…西島,呼んでこよっか?」

千「うん…お願いします」

日「頑張れよ」







女の子が初めて恋を知る瞬間ほどかわいいものがあるだろうか

千晃のその瞬間を見たのが西島でもなく秀太でもなく,宇野ちゃんたちでもなく

少し違和感を感じつつも,教室に戻った





日「西島〜」

西「お,日高」

日「お姫様が屋上でお待ちです」

西「…ここできたか〜。まあ,仕方ないか。(笑)」

日「なんだ,気づいてたんだ(笑)」

西「これでもまだ彼氏なんでね(笑)」






そう言い出ていった西島の背中がどこか逞しく見えた

ストーリーメニュー

TOPTOPへ