虹
第7章 Memory Lane
ブランコからときどき響く聞き心地の悪い音が、私と隆の関係を物語っているようだ
ふと横を見ると、誰かに電話しようとしていた
『もしもし、西島』
" え…?? なんで…"
『はづちゃん預かってるから』
どういうつもりなのか
今の隆と自分の状態わかってるのかな…??
『泣いてたから話聞いてあげた。…あぁ。』
『…次泣かせたら奪うからな。…はやく来いよ。俺はもう帰るから』
" 秀太くん…あの… "
『余計なことした?(笑)』
無邪気に笑う秀太くんを見て、思わず笑みがこぼれる
『…やっと笑った。』
" …え? "
『今日ずーっと暗い顔してた。』
" あ…ごめん… "
『ほら、それより。お迎えが来たみたいだよ』
後ろを向くと、息を切らした隆がいた
『じゃあ俺はこれで。』
" 秀太くん…ありがとう… "
秀太くんは右手をひら〜っと上げて、歩いていった
" …隆…ごめん…さっきは… "
「…もう…友達、なんだね」
" 違くて…それは… "
「俺ははづきにとって友達程度の存在でしかなかった。ただそれだけ。」
苦しそうに笑わないでよ
なんで正直に怒ってるって言ってくれないの?
" 私が悪いの。私が勝手に… "
「謝ることないじゃん。正直な気持ち聞けてよかった」
" ちょっと待ってよ…何それ… "
「元気でね」
___ 正直な気持ち?
怒りと悲しみ、悔しさが同時に込み上げる
表現しきれない感情が私の中で渦を巻いていた
公園から去ろうとする隆
今ここで離してしまえば、もう一生傍にはいられない
それなのに、足が、声が出ない
出るのは大粒の涙だけだった
" …ふっ……っ…ぅ… "
「…はぁ……」
隆の足音が止まった
かと思えばふわっと温かいものに抱き寄せられた