虹
第10章 LOVER
外は既に暗く、雨は更に強くなる
おまけに上着も着ていない
寒すぎて凍え死にそうだ
ポケットに入っているスマホは鳴りっぱなし
今出たら、負け
そんな気がして出れなかった
今ごろ西くんは、何してるだろうか
授業さぼったから、呆れて帰ってるかな
それとも、育ちゃんと楽しく話してるかな
西くんとは年の差もすごいし
改めて考えると両思いなんてありえない
洋楽なんて聴かないし、バンドも全然わかんない
胸だつて小さいし、スタイルもめちゃくちゃ悪い
育ちゃんのほうがよっぽど西くんと釣り合ってる
___ かなり自惚れてたんだな、私
現実を突きつけられたようで胸が痛い
体を打ち付ける雨の音に耳を傾ける
半年前は、規則的だって思ってた雨の音が
西くんと出会って、たくさんの事を教えてもらった今では一つ一つ違う音に聞こえる
そのうちに、雨とは違う暖かいものが私の頬をつたう
「…令っ!!!!」