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第11章 I4U

秀太side





学校が終わり、帰る時間になっても千晃は寝ていた




別に興味はなかったから、そのままスルーして帰るつもりだった





あるものを見るまでは








日「秀太!はやく行こうぜ!」


秀「おう」








日高に声をかけられて、鞄を持って立ち上がったとき、自分の視界に寝ている千晃が映った




その瞬間




千晃の目から一筋、光るものが流れた




確かに、この目で見た








日「秀太〜おいてくぞ〜」


西「千晃がどうかしたの?」


秀「…こいつ、寝ながら…泣いてる」


真「え!?!?!?」


日「声がでけえよ真司郎(笑)」









みんなで千晃の顔を見る



また一筋、涙が流れていくのが見える







西「千晃…」


浦「…1人で、辛い思いしてたのかもな」


真「そういえば、同じ学校の人おらんて言うてたな…」






千晃は、俺達とは正反対の道を進んできた



そう初めて気付かされた






みんなが高校でも同じクラスになって、心配事は何一つなかった俺たち



それに対し千晃には、知っている人が誰もいない


同性が同じクラスに1人もいない


この広い空間に、独りで放り込まれたのだ


今日しゃべった中でも笑顔を見せることは多々あった





でも、いま振り返ると、どれもうまく笑えていないような…そんな気がした




こいつだけはなにか違う


その何かなんてわからない


けれど、確かに言える事が1つ










秀「こいつのこと、守ってやんねえ?」


日「やっぱりそう思う?」


浦「俺たちと反対の道を歩いてきたのに、ここで出会ったんだ。助けない訳にはいかないよな」


真「居場所、作ったるか!!!」


西「見てみたいもんな、あいつの心の底からの笑顔」










自分でも驚いた



こんな気持ちが芽生えるなど信じられない



他の誰かに笑いかけることなんてほとんどなかった




理由はわからない


でも、間違っている気はしない


むしろ、正解なんじゃないかと思えた

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