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第11章 I4U

浦田side






目が覚めると、千晃以外のみんなはすでに起きていた




隣で、俺に背を向けた状態で千晃が寝ている




まだ時間に余裕があるから…と思い、そっと部屋を出ようとしたとき




千晃の目に光るものが見えた






千「…いや……やめ……て…」





悪い夢でも見ているのだろうか




気づけば千晃の手を握り、頭を撫でていた






千「たすけ…て…」


浦「今すぐ助けるよ、みんなここにいるよ」


千「こ…わいよ…」


浦「落ち着いて、大丈夫だから」







夢の中にいる千晃に、俺の声が届いて欲しくて

安心させてあげたくて

何度も何度も答え続けた






日「直也くん〜千晃〜、あと10分で起床時間だよ……って……」

浦「…おはよう(笑)」

日「どうした?…またなんか…」

浦「悪い夢見てるみたいで。」

日「そっか…ごめんね、お取り込み中に」

浦「全然。(笑)」






千晃の涙で、枕元がだいぶ濡れている






千「…っ…うっ…ふっ………んっ…」


浦「大丈夫、大丈夫だよ…」








千「みんな…ど…して………いなく…な…ちゃ…や……だよ……」





その言葉に耳を疑った








最初は偶然かと思ったけど、何度も訴え続けている








浦「どこにもいかないよ。ずっと千晃のそばにいる。」







ちょうどその時、起床時間を知らせる放送が流れた



その音で千晃が目を覚ます




目の前に俺がいることに驚いたのか、一瞬ビクッと体を震わせる







浦「おはよう」





一言、笑顔で声をかけると



またぽろぽろと泣き出した






千「なお…くん……」

浦「どうした?」

千「こわかった……っ…」

浦「こわい夢みたの?」

千「みんなが…いなく…な…っちゃう…」

浦「俺らはいなくならないよ。ずっと千晃のそばにいる」







千晃を優しく抱きしめ、背中をさすり続けた

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