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第11章 I4U

千晃side






合宿,2日目の夜



今日の夜は鍋を作ることになっていた






浦「西島と千晃でさ,鍋とフライパン持ってきてくれない?」

千「は〜い!!」







鍋がある小屋は,炊飯場からは少し離れている




光が少ない場所にあるため,綺麗な写真が撮れそうで楽しみだった







千「ねえにっしー,このカメラうまく撮れない」

西「どれ?」




ガシャン!!!





突然の大きな音に驚く



私にカメラの使い方を教えるために,にっしーが持っていた鍋を地面に落とした音だった



そのとき,その音に驚きすぎてうっかりカメラを持っている手を離してしまい,カメラは足元にあった水たまりの中へ落ちてしまった




千「新しいカメラが…高かったのに…」

西「ごめん…俺が…」




にっしーは悪くない,自分が悪い

それなのに"大丈夫だよ"の一言が言えなかった



それどころか,にっしーのせいにしてしまう自分がいる




西「千晃…機嫌直せよ」

千「別に怒ってないけど」

西「弁償するから。」

千「…うるさい!!!いい加減にしてよ!!!」

西「おい!!!千晃!!!」






にっしーの言葉を無視して,暗い山の奥へと走った


感情をうまくコントロールできない自分への苛立ち


にっしーやみんなに対する申し訳なさ


いろいろものが混ざりあって,ただ悔し涙を流すことしか出来なかった






気づけば,全く知らない場所まで来ていた


みんなの元へ戻ろうと歩いても,スマホも持ってきていないためどこにいるかもわからない


炊飯場からのわずかな光さえも届かない場所まで来ていたようだった




諦めかけてた時




?「千晃ちゃんだよね」




突然謎の男たちが来て,私の周りを囲んだ






千「はい…そうですが…」


?「こんなとこで1人でいたら危ないじゃん,何してんの?」


千「道に迷ってしまって…」


?「そっか。なら丁度いいや。」





そう言うと男たちは,私の手を掴み歩き出す






恐る恐る男たちの手首を見ると


案の定,虎のタトゥーが入っていた


みんなをおびき寄せるために,私をねらいにきたのだろ





千「あの…っ!!」

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