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TRAP

第2章 Distance

((西島side))







それなのに








付き合い始めて1ヵ月後の記念日に








美和は突然姿を消した








俺や秀太の気持ちを残したまま……








それから俺は,女を愛すことができなくなっていた






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"藤沢 美和"







携帯画面にうつったなつかしい文字







完全に暗記してしまって,忘れられなかったあの番号






美「西くん…」

西「ひさしぶり,どうしたの?」

美「西くんと…話がしたい」

西「わかった,いつものとこね」







ひさしぶりに聞く,甘くて優しい声







今はもう行かなくなってしまったあの居酒屋







つまみがとにかく美味しくて大好きだった








呑んだ後に必ず立ち寄っていた公園







どれもこれも,美和がいなくなってからは行かなくなってしまった






俺の弱い心が揺らいでしまうから







美「ひさしぶり」

西「美和めっちゃ変わった!(笑)」

美「西くんは全然変わってないね(笑)」

西「まあ(笑)」






嘘をついた






あれから、俺の人生の全てが変わった






愛がわからなくなったこと







人の大切さがよくわかったこと







絶対にできないと思っていた恋が







実り始めていたこと







美「西くんは元気?」

西「俺はいつもどーりっ」

美「そ…っか。」

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