箱………仇
第2章 雨の夜――…
「ただいま――…」
早足でアパートに着くも――…父は、まだ勤務から解放されていないらしく…
暗い部屋が私を待っていた――…
電気を点け…部屋を明るくすると…生活感しかない部屋が視界に飛び込んでくる…
朝の…まま――…
私が、鍵をかけて出で行った時のまんま――…
「――…」
“ただいま”を部屋にしたら…自分から何かを発する事は…無くなる…
部屋に入り…制服を着替えるだけだ…
制服は…濡れている……ハンガーにかけて…風通しのいい場所に吊るす――…
お父さんの…服も…濡れてくるかな?