ある晴れた冬の日に
第1章 prologue〜夢の人〜
カチコチ…
真夜中。
眠る前私は予感がしていた。
今夜もまた、あの夢を見るだろうって……。
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カチコチ…カチコチ…
《……舞尋(マヒロ)っ……》
「うっ…ん」
はっ!!!
《……お願いだ、目を開けてくれ!……》
私はこわごわ薄目を開けると、ぼんやりした人影が見える。
「ん…うぅ」
体が固まって動けない。
落ち着け、萌音。
これは夢なのよ。
そう、最近よく見るようになった夢だ。
《……俺を置いてくのかよ?舞尋っ!……》
「っ…」
私はそんな名前知らない。一体"舞尋"って、誰なの?
彼はまるで、私に語りかけているみたい。
いや、実際そうなのだ……。
多分彼女の恋人であろう、男の人の声は、とても私の耳から離れない。
舞尋さんはどうなったのだろう?
まさか……。
まさかね……。
そこから私はまた、深い眠りに落ちていった。
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