ある晴れた冬の日に
第3章 約束
「数学の勉強でわからない事とか、ない?」
「今のところは、大丈夫です」
「優秀なんだな。将来はなんになりたいの?」
「特に…まだ決めていません」
私は勉強はどちらかといえば好きな方だった。
だけど夢は、早くお嫁さんになる事です、なんて言ったら笑われそうで…。
あとは学校生活のたわいない話が続き…。
「あの」と私。
「なに、どうかした?」
「これって普通の個人懇談みたいですね?」
「あぁそうか。確かに。つまんなかったな?じゃあ僕の話をしよう」
少し焦ったように頭をかく仕草が、意外にかわいいなと思った。
先生はここから車で5時間ほど離れたK市で、生まれ育ったという。
「いい所なんだ、自然が多くて。知ってる?」
「いいえ、まだそこへは行ったことがありません」
「そう。じゃあ今度一緒に行ってみる?」
「えっ!」
私はびっくりして先生を見つめた。