ある晴れた冬の日に
第5章 故郷へ
階段を下りて居間へ入ろうとしたら、先生とお母さんの会話が聞こえた。
しかし私は次のお母さんの言葉に、足がピタリ止まる。
「それにしても最初萌音さんを見た時、驚いたわよ。だって、舞尋ちゃんそっくりなんですもの」
「ふっ。母さんがそう思うのも無理ないよ」
えっ、舞尋…?
舞尋って…あの夢の中で男の人が呼ぶ、名前だ。
ドクン、ドクン、
どういうことなの?
「せ、先生っ…」
「君、顔色が悪いぞ。やっぱりどこか具合が悪いんじゃ」
あのぼんやりとしか見えなかった面影は。
面影は。
先生だったの?
彼を見つめて私は聞く。
「先生の恋人だった人…舞尋さんって言うんですか?」
「ああ…そうだよ」
「私、舞尋さんのことがもっと知りたいです!」
「舞尋のことを?」