ある晴れた冬の日に
第7章 ごめんね
ガチャ
「…っ」
「橋本?」
彼は何も言わず俺の横を通り過ぎて行った。
奥へ行くと萌音が立っていて、俺を見てびっくりした表情をした。
「先生!?」
「倒れたって聞いて。もういいのか?」
俺は彼女が、橋本と鍵をかけた部屋で何をしていたのか気になった。
「はい…。実は、また昔の先生と舞尋さんの幻影が見えて、頭がくらくらして、気がついたら」
「そうだったのか…。橋本はどうしてここに?」
「私を運んで、そばについててくれたんです」
「ああ、そうだと思った。いいやつだな?」
「はい」
俺は橋本がさっき、一瞬見せた表情で確信した。
彼もまた、萌音のことが好きなんだと。