ある晴れた冬の日に
第8章 アタック!
淳也side
2月のある晩。
俺は、自宅に持ち帰ったテストの採点をしているところだった。
♪〜
不意に携帯が鳴り、誰だろうと見たとたん胸が弾んだ。
「もしもし?」
『先生こんばんは。夜分にすみません。あの明日なんですけど…』
「うん」
『放課後、少しだけお時間作ってもらえますか?』
「勉強の事かな?」
『あ、違います』
「明日は職員会議があるから遅くなるんだ。待たせるのは悪いし…」
『私なら、図書室で時間つぶしてるので平気です』
「じゃあ終わったら君の家まで行くよ。だから先に帰って待っててくれるかな?」
『えっ、わかりました』
電話をきった後、ふっと笑みがこぼれた。
こんな俺にかまってくれるなんて。
やっぱり嬉しかった。
その反面俺は寂しく思う。
非常勤講師という不安定な立場上、いつ転勤を命じられるかわからない。
そんな生活がもう、ずっと続いているのだ。
いつか別れる日が来る。
ほんとにいいのか?
それで……。