無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

　淡い髪色の二人はジーンズの泥を叩き、手で顔を抜い、頭を振りやると、髪の先から勢いよく矢のように雫が飛んだ。「傘、ありますよ」ユノはステッキがわりの傘を、進み出てチャンミンと並ぶと、二人に差し出す。
　二人組の片方が、デニムの白いジャケットを取り、頭にかざし、もう一人の肩を引き寄せた。二人は互いの体を支え合うようにして、足早に真向かいの家の陰に消えた。　泥の色の足跡も、みるまに雨に叩かれて、流れ消えた。





　「チャンミン」「はい─」「なんだって? 怒鳴ってたね…」教会のドアを見て、ユノが問う。「どうなって…るんでしょう─」ユノの手から傘を取り上げた。「ドア…ノック、してみましょう」　ユノは頷いて、片方の手の畳んだままの傘を雨に濡れた、固い舖道に突き立てた。