
密猟界
第10章 最終出口
乗り込むと、運転手の吸うジタンが匂う。「ユノ…腕輪無くなりましたね」「オ?」─走り出した車の内で、「これ、ユノ。有難う」十字架が鎖の先で、揺れる。それを首にかけてやりながら、「僕。教会でユノにやりたい放題─」手で制し、「いいよ、終わった」
その手の動きに、「あ、傘。忘れましたね」
振り向くと、教会の前にふたりが立って微笑んでいた。野性の貌と優しい面立ちの…ふたりは剣のように、雨傘を携えている。
「チャンミン、傘はあのふたり…」タクシーが急カーブを切り、ふたりは見えなくなった。
─鐘の音がユノの耳に届く。街路樹から、烏が飛び立ち、タクシーの屋根の上を追い越して行った。
朝日が射し込んで、教会の扉のステンド・グラスを照らし、光り始める─。
その手の動きに、「あ、傘。忘れましたね」
振り向くと、教会の前にふたりが立って微笑んでいた。野性の貌と優しい面立ちの…ふたりは剣のように、雨傘を携えている。
「チャンミン、傘はあのふたり…」タクシーが急カーブを切り、ふたりは見えなくなった。
─鐘の音がユノの耳に届く。街路樹から、烏が飛び立ち、タクシーの屋根の上を追い越して行った。
朝日が射し込んで、教会の扉のステンド・グラスを照らし、光り始める─。
